【番外編】過保護な医者に、今度は未来まで守られてます
ソファに寄り添って、どちらからともなく、ふたりとも静かにまぶたを閉じていた。
窓の外には薄暮が落ち、オレンジ色の空がゆっくりと群青に染まっていく。
「……すぅ……」
雪乃の小さな寝息が、大雅の胸にくすぐるように響く。
動かないように、彼女を起こさないように――大雅はそっと顔を見下ろした。
「……完全に寝たな」
笑い声を飲み込んで、小さくつぶやく。
雪乃の顔は、寝ているときほど無防備で、愛おしい。
ほんの少し口が開いていて、眉間にはちょっとだけ皺。
たぶん、夢の中でも何か考えてる。
「……変な夢、見てないといいけど」
そっと立ち上がり、腕の中の彼女の身体を抱え上げる。
「よいしょ……っと。重くなったな」
「……それは今、寝言じゃなかったら許さないやつ」
突然ぽつりと聞こえた雪乃の声に、大雅がびくっとする。
「起きてたの?」
「半分だけ。……でもこのまま運ばれたかったから、寝たふりしてた」
「小悪魔か」
「お姫様だもん」
雪乃がにやりと目を細めて、首に手をまわす。
「はいはい、お姫様はベッドへご案内~」
そう言いながら、寝室のドアを静かに開ける。
シーツのひんやりとした感触に、雪乃は気持ちよさそうに目を細める。
「お姫様、着替えは……?」
「もうこのままでいい~。今日は特別……」
「……ま、いっか」
布団をかけてやると、大雅もその隣に滑り込むように入り込む。
腕枕の位置を整えながら、雪乃がぽつりとつぶやいた。
「そういえば今日、滝川先生に褒められたんだよ」
「へぇ。何で?」
「ちゃんと体力戻ってきたって。早歩きもできるって言ったら、ほんとに?って笑ってた」
「それは……寝坊して急いだやつ?」
「うん……まぁ、そうなんだけど」
雪乃がちょっとだけ拗ねたように唇を尖らせ、大雅はくくっと笑う。
「そりゃ褒められるわ。俺のおかげだね」
「ちがうし。自分で頑張ったし」
「じゃあ褒めてあげようか。えらいえらい」
「バカにしてる?」
「してないよー。姫様はたいそうご立派でした。ついでに明日の朝もその調子で起きられるといいね」
「……それはちょっと自信ない」
ふたりの笑い声が、小さく寝室に溶けていく。
「……でも、ほんとにね。こうして笑って、誰かと今日のこと話せるのって、幸せだなって思う」
雪乃がぽつりと呟いたその声に、大雅は何も言わず、彼女の髪にそっと唇を落とした。
そのままふたりは、寄り添うように目を閉じる。
夜は静かに、やさしくふたりを包んでいた。
窓の外には薄暮が落ち、オレンジ色の空がゆっくりと群青に染まっていく。
「……すぅ……」
雪乃の小さな寝息が、大雅の胸にくすぐるように響く。
動かないように、彼女を起こさないように――大雅はそっと顔を見下ろした。
「……完全に寝たな」
笑い声を飲み込んで、小さくつぶやく。
雪乃の顔は、寝ているときほど無防備で、愛おしい。
ほんの少し口が開いていて、眉間にはちょっとだけ皺。
たぶん、夢の中でも何か考えてる。
「……変な夢、見てないといいけど」
そっと立ち上がり、腕の中の彼女の身体を抱え上げる。
「よいしょ……っと。重くなったな」
「……それは今、寝言じゃなかったら許さないやつ」
突然ぽつりと聞こえた雪乃の声に、大雅がびくっとする。
「起きてたの?」
「半分だけ。……でもこのまま運ばれたかったから、寝たふりしてた」
「小悪魔か」
「お姫様だもん」
雪乃がにやりと目を細めて、首に手をまわす。
「はいはい、お姫様はベッドへご案内~」
そう言いながら、寝室のドアを静かに開ける。
シーツのひんやりとした感触に、雪乃は気持ちよさそうに目を細める。
「お姫様、着替えは……?」
「もうこのままでいい~。今日は特別……」
「……ま、いっか」
布団をかけてやると、大雅もその隣に滑り込むように入り込む。
腕枕の位置を整えながら、雪乃がぽつりとつぶやいた。
「そういえば今日、滝川先生に褒められたんだよ」
「へぇ。何で?」
「ちゃんと体力戻ってきたって。早歩きもできるって言ったら、ほんとに?って笑ってた」
「それは……寝坊して急いだやつ?」
「うん……まぁ、そうなんだけど」
雪乃がちょっとだけ拗ねたように唇を尖らせ、大雅はくくっと笑う。
「そりゃ褒められるわ。俺のおかげだね」
「ちがうし。自分で頑張ったし」
「じゃあ褒めてあげようか。えらいえらい」
「バカにしてる?」
「してないよー。姫様はたいそうご立派でした。ついでに明日の朝もその調子で起きられるといいね」
「……それはちょっと自信ない」
ふたりの笑い声が、小さく寝室に溶けていく。
「……でも、ほんとにね。こうして笑って、誰かと今日のこと話せるのって、幸せだなって思う」
雪乃がぽつりと呟いたその声に、大雅は何も言わず、彼女の髪にそっと唇を落とした。
そのままふたりは、寄り添うように目を閉じる。
夜は静かに、やさしくふたりを包んでいた。