【番外編】過保護な医者に、今度は未来まで守られてます
季節はすっかり冬に変わり、街にはイルミネーションが灯り始めていた。

風が冷たくなった分だけ、手を繋いで歩く温もりが心地いい。
ふたり並んで歩く帰り道、雪乃の手は大雅のポケットの中にそっと忍ばせられていた。

「街、すっかりクリスマスモードだね」

「ああ……こういう雰囲気、好きだよ。街全体が浮かれてて、何だか許される感じがする」

「うん……たしかに。普段なら恥ずかしくなるくらいの飾りつけも、今の時期なら“いいじゃん”ってなるもんね」

「……で、何か欲しいものは?」

「え? 急に?」

大雅が何気なく聞いた問いに、雪乃は少し考えてから、にっこり笑った。

「うーん……プレゼントは、あとでこっそり枕元に置いてくれるってことで……」

「……サンタ扱い?」

「違うの? 王子様って、そういうのもしてくれるんじゃなかったっけ?」

「なるほどね。お姫様コース、再開する?」

「……期間限定でお願いしようかな」

そう言って笑い合うふたりの足元に、やわらかな光が降り注いだ。

ショーウィンドウにはクリスマス限定のスイーツや、華やかなリースが並ぶ。
どこからか流れてくるジングルベルのメロディーが、胸の奥をほんのり温かく染めていく。

ふたりの間に流れる時間は、穏やかで、静かで、でも確かなぬくもりを持っていた。

それは、ひとりでは決して得られなかった、冬のあたたかさだった。
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