【番外編】過保護な医者に、今度は未来まで守られてます
食後のチーズケーキも平らげて、ソファに移動したふたりは、大雅が用意していたふわふわのブランケットに包まれていた。

「……あったかい」

「でしょ。クリスマス仕様のやつ。モコモコすぎて、たぶん一緒に寝たら暑いくらい」

「でも今はちょうどいい……っていうか、こうしてるだけで、なんか……しあわせ」

「うん。俺も」

そう言って、隣に座る雪乃の髪にそっと指を滑らせ、大雅は頬にキスを落とす。

雪乃はくすぐったそうに身を縮めながらも、頬を染めて目を細めた。

「……もうちょっとだけ、近くに来て」

そう囁いた大雅の腕に抱き寄せられて、雪乃は彼の胸にすっぽりと収まる。

体温と、息づかいが伝わってくる。
静かな部屋にふたりの心音だけが響いているみたいだった。

「……キス、していい?」

そう言いながら、もう許可なんて待たないくせに、と笑おうとした雪乃の唇を、そっと塞ぐように――
触れる、というより、味わうように、大雅のキスが降ってきた。

ゆっくりと、深く。
角度を変えて、何度も。

唇だけじゃ足りなくて、頬に、まぶたに、首筋に……ぬくもりと熱が降り積もっていく。

「……んっ……」

雪乃の声が、喉の奥で溶ける。
抵抗する理由なんて、ひとつもない。

むしろ、もっと触れていてほしい。
そう言いたくなるくらい、とろけて、甘く、満たされていく。

「……可愛すぎ。ずるいよ、雪乃」

「なにが……ずるいの」

「そんな顔されたら、止まんない」

「止まらなくて、いいよ……今日は、クリスマスだし」

そう囁いた雪乃の唇を、大雅はもう一度深く塞いだ。

長く、ゆっくりと――まるで時間が止まったかのように。

ふたりだけの世界で、ブランケットの中、言葉よりも深く伝わる愛が、何度も、交わされていった。

気づけば、雪乃は大雅の胸の中で目を細めたまま、ふわりと微笑んでいた。

「……だいすき」

「うん。俺も。世界で一番、好き」
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