【番外編】過保護な医者に、今度は未来まで守られてます
ソファで何度も口づけを交わしたあと、ふたりの間に言葉はいらなくなっていた。

大雅がそっと雪乃を抱き上げたとき、彼女は目を見開いたものの、すぐに大雅の首に腕を回し、身を預けた。

「……ベッド、行こ」

その声は、やさしくて、でも熱を帯びていた。

「うん……」

その一言で、もうすべてが決まっていた。

静かな寝室に入ると、暖房の音とふたりの息づかいだけが空気を満たしていた。

ブランケットのぬくもりを引き継ぐように、ベッドの上でそっとシーツをめくり、大雅が雪乃を寝かせる。

灯りはつけたまま。
今夜は、隠さない。

雪乃の頬に触れ、髪をなぞり、もう一度、深く長いキスを落とした。

「……雪乃、いやだったら、すぐに言って」

その声に、雪乃はかすかに首を振る。

「……いやじゃない。……だって、大雅だもん……」

その言葉だけで、大雅の胸に何かが溶けていった。

ふたりの距離が、静かに、けれど確かに――埋まっていく。

シャツのボタンを一つずつ外す手は丁寧で、まるで宝物を扱うようだった。

雪乃もまた、大雅の背中にそっと手を回し、胸元に顔を寄せる。

「……あったかい」

「雪乃が……いちばん、あったかいよ」

重なり合う肌。交わされる吐息。
やさしくて、でもどうしようもなく求め合う――

時間はゆっくりと流れていく。

触れ合うたび、雪乃の頬が上気し、大雅の目も熱を帯びる。

その夜、ふたりは言葉のいらない会話を重ね、確かめるように、お互いを何度も抱きしめ合った。

ただの身体の関係ではなく、心が重なる。そんな夜だった。

そして最後に、大雅が雪乃の額にそっとキスをして、静かにささやいた。

「……愛してるよ」

雪乃は、恥ずかしさと幸福に震えながら、小さく笑って応えた。

「わたしも……すごく、愛してる」

ベッドの中で重なった手と手は、静かに、あたたかく結ばれていた。
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