【番外編】過保護な医者に、今度は未来まで守られてます
雪乃は黙ったまま、横を歩く大雅の手をそっと握った。
言葉はなかったが、その指先は確かに彼に「今」を伝えていた。

ゆっくりと並んで歩きながら、大雅は横目で雪乃の表情をうかがう。
俯きがちなその横顔には、ほんのかすかな不安が見え隠れしていた。

でも、彼女はもう何も言わなかった。
だから、大雅が言葉にした。

「……大丈夫だよ。1人じゃない」

その声に、雪乃ははっと顔を上げる。

「俺がいる。滝川先生も、職場の人も......みんながいる」
「だから……怖がらなくていい。どんな未来でも、一緒に超えていけるよ」

それは慰めではなく、揺るがぬ決意だった。

雪乃は、ゆっくりと微笑んだ。

「うん……」

たったそれだけの言葉だったけれど、彼女の中にあった小さな不安が、すっと軽くなるのがわかった。

ふたりの手は自然と、もう片方の手も繋がれていた。

日常は続いていく。
いつもの通り道も、いつもの風景も、これから先、いくつもの季節が重なっていく。

でも、それはただの繰り返しじゃない。
この手を繋いでいるかぎり、毎日は、未来へと続く一歩になる。

希望は、確かにここにある。

木々の間から差し込む光が、ふたりの背中をそっと照らしていた。
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