氷壁エリートの夜の顔
私と結城さんは顔を見合わせる。
お互い、「知っていたら棲み分けたのに」という顔をしていた。
「咲ちゃん、颯真くんは2週間くらい前から通ってくれてるの。もうお昼の常連さんたちともすっかり仲良しでね」
……常連さんたちと仲良し? あの無表情で会話ストッパーな氷壁エリートが?
混乱したまま、私は注文を聞く。彼はビールと焼き魚定食、それからだし巻き卵を頼んだ。
京花さんが厨房に下がり、私がビールをジョッキに注いでいると、カウンターの向こうで声が聞こえてきた。
「……仕事のことを考えずに、ただ美味しいものを食べられる店、近所で見つけてラッキーって思ってたのに……。まさか、『進捗の確認は私がー』が脳裏に蘇るとは」
明らかに私に向けた独り言だ。私はグラスの泡を整えながら、わざと明るく応じた。
「あら偶然。私もどこからか声が聞こえた気がしたんです。『要点だけで結構、グラフの解析は俺がー』って」
お互い、「知っていたら棲み分けたのに」という顔をしていた。
「咲ちゃん、颯真くんは2週間くらい前から通ってくれてるの。もうお昼の常連さんたちともすっかり仲良しでね」
……常連さんたちと仲良し? あの無表情で会話ストッパーな氷壁エリートが?
混乱したまま、私は注文を聞く。彼はビールと焼き魚定食、それからだし巻き卵を頼んだ。
京花さんが厨房に下がり、私がビールをジョッキに注いでいると、カウンターの向こうで声が聞こえてきた。
「……仕事のことを考えずに、ただ美味しいものを食べられる店、近所で見つけてラッキーって思ってたのに……。まさか、『進捗の確認は私がー』が脳裏に蘇るとは」
明らかに私に向けた独り言だ。私はグラスの泡を整えながら、わざと明るく応じた。
「あら偶然。私もどこからか声が聞こえた気がしたんです。『要点だけで結構、グラフの解析は俺がー』って」