氷壁エリートの夜の顔
彼は小さく咳払いをしながら、ビールを一口飲んだ。
頬が少しだけ赤く染まる。完璧に整ったその顔が、ほんのわずかに柔らかく見えた。
「……スパイス柿ようかん、注文しなくていいの? 常連さんが来たらすぐ売り切れちゃうよ」
私は少しだけ視線を外しながら、小さな声で言った。
「スパイスの柿ようかん? そんなのあるのか」
「……端っこがね、とくに美味しいの。今なら、まだあるけど……」
「くだらない」と言われるかと思った。
でも、返ってきたのは予想外の言葉だった。
「じゃ……それも、お願い」
そのとき、引き戸が開く音と共に、朗らかな声が響いた。
「颯真くんジャマイカ! 夜にいるなんて珍しい!」
祐介くんだ。彼は手を振りながら結城さんの隣に座る。そして、信じられないことに、結城さんも笑って答えた。
「祐介くんこそ、昼も夜も来るんだね」
「あ、咲さん。柿ようかんキープお願い! 今日は端っこある?」
祐介くんが言う。私は「ありますとも」と答えた。
「颯真くんもキープしてもらった? 端っこは先着2名さままでだから、もしまだだったら──」
「俺も注文した。柿ようかんの両端は、俺たちで確保だな」
頬が少しだけ赤く染まる。完璧に整ったその顔が、ほんのわずかに柔らかく見えた。
「……スパイス柿ようかん、注文しなくていいの? 常連さんが来たらすぐ売り切れちゃうよ」
私は少しだけ視線を外しながら、小さな声で言った。
「スパイスの柿ようかん? そんなのあるのか」
「……端っこがね、とくに美味しいの。今なら、まだあるけど……」
「くだらない」と言われるかと思った。
でも、返ってきたのは予想外の言葉だった。
「じゃ……それも、お願い」
そのとき、引き戸が開く音と共に、朗らかな声が響いた。
「颯真くんジャマイカ! 夜にいるなんて珍しい!」
祐介くんだ。彼は手を振りながら結城さんの隣に座る。そして、信じられないことに、結城さんも笑って答えた。
「祐介くんこそ、昼も夜も来るんだね」
「あ、咲さん。柿ようかんキープお願い! 今日は端っこある?」
祐介くんが言う。私は「ありますとも」と答えた。
「颯真くんもキープしてもらった? 端っこは先着2名さままでだから、もしまだだったら──」
「俺も注文した。柿ようかんの両端は、俺たちで確保だな」