ステラクリマの匣庭ー貴方が読むまで、終わらない物語ー


星が歌った夜、誰かの祈りが届くと思っていた。
けれどそれは、願いの形をした檻だった。

誰よりも優しい声で「行かないで」と囁きながら、
その手は、逃げ場をひとつずつ奪っていく。

……それでも、彼女は空を見上げた。
それだけが、まだ“彼女”である証だったから。

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