ステラクリマの匣庭ー貴方が読むまで、終わらない物語ー
ルカは、微笑んだ。

その笑顔は、かつて彼らが愛したもの。
だが、もう彼らのものではなかった。

 

「行くよ。この世界を終わらせるために。あなたたちが創った、やさしくて残酷な夢の終わりにするために」

 

フェクダが手帳を投げ捨てた。
その中に書かれていたのは、ただ一行。

「君が生きていてくれたら、それでよかった」

 

彼女は歩き出す。

星の心を胸に抱き、記憶を背負い、たったひとりの朝へ。

 

その背に、誰かが泣く声があった。

叫びも、罵声も、懇願もなかった。

ただ、六つの想いがそこに在り続けた。

少女の幸せを願う、狂気の末に崩れ落ちた“星たち”の祈りが。

 

――夜が、明けた。

世界は壊れた。だからこそ、これからは選べる。

誰のものでもない“私”として、生きる道を。
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