サルビアの育てかた
 あの頃のレイが「死」という概念があったのか、定かではない。
 だが、仔猫が死んでしまって二度と会えなくなることを知ったレイは、大声で泣いていた。俺はそんな彼女の泣き声が鬱陶しいと思ってしまった。それと同時に、純粋な奴だとも感じた。

 今振り返れば、レイは優しい心を持っている。たった一匹の仔猫のために、あそこまで献身的になり涙を流せるのだから。

 そんな彼女はグリマルディ家にとって大切な娘なんだ。なにより、俺にとっても──


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