サルビアの育てかた
 でも……兄は、私が一緒にダンススクールに通うことになったのを知ると、少し面倒臭そうな顔をした。
 リビングのソファに腰かけながらテレビを眺めるヒルスの隣に座り、ぐっと顔を覗き込んでみる。ちらりと横目でこっちを見るその表情は、やっぱり「厄介者」を眺めているみたいだった。

 でもね、喜びに満ちている今の私は全然そんなこと気にならないよ。 

「私も一緒にダンスの練習ができるんだよ!」

 ヒルスは額に手を当てながらふう、と深く息を吐く。

「……あのな、そんなに甘い世界じゃねえからな。最初は俺と違うクラスだぞ」

 嬉しさでいっぱいの私に対して、目も合わせず冷たく言う兄。
 どうせ上手く出来ない、とか何とか言ってすぐ辞めていくと思われたかな?
 どこまでやれるか分からないけど、私もヒルスの背中を追って毎日練習頑張るよ。その一心だった。

 きっかけは本当に単純だったの。大好きな兄と少しずつ打ち解けるようになったのは。
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