サルビアの育てかた


「先日は私の軽率な行動のせいで、皆さんに多大なるご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ございませんでした……」

 スタジオの中はしんと静まり返っていた。

 あの家出の一件があってから数日が経つ。私はヒルスにお願いをして、彼が働くダンススタジオに初めて連れてきてもらった。
 スタジオにはダンススクールの先生たちも集まっていている。
 家出した私を夜中まで捜してくれた先生たちに、どうしても直接謝罪をしたかったの。

 ジャスティン先生や他の先生たちはなんともいえない表情でこちらを見つめた。そんな中、最初に口を開いたのはある女の先生だった。

「堅い!」

 大きな声に驚いて、私は思わず目を見開く。

 その先生は背が高くスラッとしていて、ロングの藍色ヘアには緩くウェーブがかかっている。お化粧が濃いわけじゃないのに美人で、大人の女性って感じで少し羨ましい。
 こんなに綺麗な人と一緒にヒルスはお仕事をしているんだね。

「堅いわよ、レイ!」
「あの……」
「誰も気にしてないわ。あなたが無事だったならそれでいいのよ」

 笑顔でそう言ってくれる彼女に、私は戸惑いながらも自然と肩の力が抜けていく。
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