サルビアの育てかた
 汗だらけの衣装を脱ぎ、頭からシャワーを浴びた。疲れた身体を癒すことができるのに──胸が痛くなる時間でもあった。

 全身があたたまってから脱衣場に出る。そこにある鏡の前に立つと、どうしても目に入ってしまう。「コンプレックス」の塊が。
 私のデコルテ辺りには、変な形をした薄いシミがあるの。皮膚にちょっとだけ皺も入ってる。
 物心ついた頃からずっと気にしてた。いつか消えるのかな、と思っていても全然なくならない。
 見る度に、気分が落ち込んでしまう。胸が締めつけられる。

 普通の人にはないよね? どうして私の身体にはこんなおかしなものがあるんだろう。

 恥ずかしくて、誰にも相談できない。みんなに見られたくない。だから私は、常に胸元を隠している。
 普通に生活をしていく上では困らないよ。でも──これが原因で、どうしても心が沈んでしまうの。

 鏡から顔を背け、急いで服を着た。
 今日もたくさん踊って疲れちゃった。音楽でも聴いてリラックスしよう……。
 着替えを終え、私はそそくさと脱衣場を後にした。
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