サルビアの育てかた
──フレアのことは好きだ。信頼できる先輩であり、スタジオで共に働く仲間として、俺はフレアを慕っている。正直かなり美人だし、ダンスもクールで生徒たちからの信頼だって厚い。でも俺のフレアに対する「好き」という気持ちは、決して恋愛対象としてではない。仲間としての意味が込められている。今までもこれからも、気の置けない仲間として繋がっていたかった。
「フレア」
俺は真剣な眼差しを向ける。
「フレアは、俺の信頼できる人だ。だから……ちゃんと本当のことを話す」
俺たちの関係について真実を自分から打ち明けるのは、後にも先にもフレアだけだ。
レイは元孤児で三歳から我が家の家族として迎え入れられたこと、レイ本人はまだその事実を何も知らないこと、そして彼女が十八歳になった頃に両親が全てを打ち明けるつもりであることを伝えた。
フレアは終始真剣に、耳を傾けてくれる。
「……そうだったのね。あの子にそんな事情があったなんて」
「たとえ血の繋がりがなくても、あいつは俺の大切な家族の一員なんだ。だから、そういう意味でレイは特別なんだと思う」
自分で無理やり納得させるような台詞だった。
こんな俺の言葉を聞いて、フレアは首を傾げる。
「違うと思うわよ」
「えっ?」
「あなたがあの子を想う気持ち、もっと別の意味があるわね」
「バカ言うなよ……」
俺は大袈裟に首を振った。
なんとなく分かる。俺がレイに恋をしているんだとフレアは言いたいのだろう。だが、それだけは絶対に違うと断言しよう。
「あいつはまだ子供だぞ? それに、レイは俺を兄だと思っている。家族以外の特別な感情なんてない」
「そうやっていつもあの子のことを子供だと思ってるみたいだけど。あと三、四年経った後も同じことが言えるのかしら?」
「えっ」
「今はあどけない笑顔が可愛い年頃かもしれない。でもね、女っていうのはすぐに大人になるものよ。レイが十八歳になったとき、あなたの気持ちはどうなっているのかしらね」
内心ドキッとした。今よりも成長し、大人になったレイの姿を想像してしまう。きっと更に綺麗になっているのだろう、と。
それでも俺は、頑なに首を横に振り続ける。
「レイが大人になっても、今更恋愛感情なんて持たないよ」
「頑固なのね。少しは素直に自分の本当の気持ちと向き合った方がいいわよ。レイは可愛いくて本当に良い子だから、すぐ他の誰かに取られちゃうかもね」
「何を……」
「それに」
手の平を頬に当て、フレアは穏やかな声になるんだ。
「あなたがレイを想う気持ちは、恋とか単純なものじゃないみたい。いつかその気持ちがなんなのか、はっきりするといいわね」
そんなこと言われたって──なかなか理解が追いつかない。理解すべきじゃない。
「わたしも好きな人には幸せになってほしいし、相手がレイなら応援するわ。すぐに切り替えるのは難しいけど」
「フレア」
俺は真剣な眼差しを向ける。
「フレアは、俺の信頼できる人だ。だから……ちゃんと本当のことを話す」
俺たちの関係について真実を自分から打ち明けるのは、後にも先にもフレアだけだ。
レイは元孤児で三歳から我が家の家族として迎え入れられたこと、レイ本人はまだその事実を何も知らないこと、そして彼女が十八歳になった頃に両親が全てを打ち明けるつもりであることを伝えた。
フレアは終始真剣に、耳を傾けてくれる。
「……そうだったのね。あの子にそんな事情があったなんて」
「たとえ血の繋がりがなくても、あいつは俺の大切な家族の一員なんだ。だから、そういう意味でレイは特別なんだと思う」
自分で無理やり納得させるような台詞だった。
こんな俺の言葉を聞いて、フレアは首を傾げる。
「違うと思うわよ」
「えっ?」
「あなたがあの子を想う気持ち、もっと別の意味があるわね」
「バカ言うなよ……」
俺は大袈裟に首を振った。
なんとなく分かる。俺がレイに恋をしているんだとフレアは言いたいのだろう。だが、それだけは絶対に違うと断言しよう。
「あいつはまだ子供だぞ? それに、レイは俺を兄だと思っている。家族以外の特別な感情なんてない」
「そうやっていつもあの子のことを子供だと思ってるみたいだけど。あと三、四年経った後も同じことが言えるのかしら?」
「えっ」
「今はあどけない笑顔が可愛い年頃かもしれない。でもね、女っていうのはすぐに大人になるものよ。レイが十八歳になったとき、あなたの気持ちはどうなっているのかしらね」
内心ドキッとした。今よりも成長し、大人になったレイの姿を想像してしまう。きっと更に綺麗になっているのだろう、と。
それでも俺は、頑なに首を横に振り続ける。
「レイが大人になっても、今更恋愛感情なんて持たないよ」
「頑固なのね。少しは素直に自分の本当の気持ちと向き合った方がいいわよ。レイは可愛いくて本当に良い子だから、すぐ他の誰かに取られちゃうかもね」
「何を……」
「それに」
手の平を頬に当て、フレアは穏やかな声になるんだ。
「あなたがレイを想う気持ちは、恋とか単純なものじゃないみたい。いつかその気持ちがなんなのか、はっきりするといいわね」
そんなこと言われたって──なかなか理解が追いつかない。理解すべきじゃない。
「わたしも好きな人には幸せになってほしいし、相手がレイなら応援するわ。すぐに切り替えるのは難しいけど」