サルビアの育てかた
色々考えても仕方がない。今日はヒルスが帰ってくる日。週に一度、四人で食卓を囲む時間は私にとってとても貴重な時間だ。
 夕飯はヒルスの好きなメニューにしよう。ハンバーグステーキがいいかな。野菜スープも用意する? デザートは何にしよう。
 メニューを考えながらキッチンへ向かい、冷蔵庫を開けてみる。足りない材料がいくつかあった。買い物しないと。

 今日父はお休みだから、一緒に買い出しに行こう。そう思い、父のところに駆け寄った。
 ガーデンでまったり煙草を吸っている父に声をかける。

「お父さん」
「ああ、レイ。どうした?」

 父は煙草の火を灰皿で消してから、私の方を振り返った。

「一緒にお買い物行こうよ。夕食の食材を用意したいの」
「分かった。準備してすぐに行こう」

 私は上着を着て鞄を肩にかけ、すぐに出掛ける支度を始めた。何を買うかメモも忘れずに。
 準備をしている最中、私の携帯電話がメッセージ受信の知らせを響かせた。ヒルスからだ。

《レイおはよ。今日は仕事が終わってからすぐそっちに行くよ》
《うん、お仕事頑張ってね! 夕飯作って待ってるよ》
《ありがとう》

 一人でニコニコしながら返信をして、私は玄関へ向かう。
 父がそろそろ車の用意をしている頃だろう。

「レイ」

 だけど──違った。
 父はまだリビングのソファに座ったまま、着替えすらしていなかった。テレビをぼんやりと眺めて寛いでいる。
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