サルビアの育てかた
「あれ。お父さん、行かないの?」
「えっ、どこに?」

 ──それがはじまりだった。父が少しずつ変わっていったのは。

「お買い物、行くんでしょう?」
「あ……そうだった、かな。うん、ごめん。すぐに準備するよ」
「もう、お父さん。大丈夫? 変な冗談やめてね!」

 笑いながらそう言うしかない。

 このときの私は、あまり深く気にしなかった。きっと父は仕事で疲れているのだろう、と。
 父は苦笑し、自身の言動に首を捻って苦笑していた。
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