サルビアの育てかた
 首を小さく横に振り、料理に集中した。
 するとそこに、父もやって来た。空のお酒のボトルを持っていて、頬が赤くなっている。

「セナ、酒がなくなった」
「えっ、もしかしてまだ飲むの?」
「もう少しだけ飲みたいな」
「でも……」

 父はお酒に弱い。飲みすぎるとご飯も食べずに寝てしまうことがある。それを気にして、母はあまりお酒を飲んでほしくないみたい。
 ほろ酔いの父は、ふとヒルスの姿を目にすると驚いたような顔をするの。

「ヒルスか」
「ああ。父さん、ただいま」
「いや、どうしてお前がいるんだ?」
「えっ、毎週水曜日はスタジオが休みだからいつも来てるだろ」
「うん? 今日は……木曜日じゃなかったか」

 父は困惑したようにカレンダーを確認しながら首を傾げた。

「やあね、アイルったら……日付も分からなくなっちゃったの?」

 母は食器を用意しながら苦笑している。

 ……やっぱり、なんだか父の様子がおかしい。
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