サルビアの育てかた
空を見上げると、黒い雲が太陽を隠して今にも雨が降りそうな天気になっていた。もう、踊る気になんてなれない。
時の流れを忘れ、ぼんやりと町を眺める。蜂蜜色の家々が立ち並ぶ、慣れ親しんだ景色。たまに車や馬が走り去り、近所の人や観光客たちが自然の風景を楽しむ様子が目に入る。なんの変哲もない、日常の中に私はいるはずなのに、景色が灰色に染まっていくような気がした。
心臓がどくどくと煩く脈打ちしている。落ち着かない中で、ズボンのポケットから着信音が鳴り響いた。震えながら携帯電話を確認すると、母からの電話だった。
ふう、と小さく息を吐いてから通話ボタンを押す。
『レイ? 今、どこにいるの?』
「近くの丘の上で散歩してるよ。黙って外に出てごめんなさい」
平静を装うと思ったのに、自分でも分かった。声が暗すぎるって。
『寒いから早めに帰ってきなさいね?」
「……うん」
冷たい風が通りすぎた。思わず身震いしてしまう。
『レイ』
「ん?」
『どうかしたの? 元気ないわね』
そう問われ、すぐには答えられなかった。
最近、私は父のことを考えるとぼんやりしてしまう。今の出来事だって凄く驚いているし、ショックで空元気さえ出ないの。
心配しすぎかもしれない。でも、いくら何でも私をミリィと間違えるなんて絶対におかしい。
時の流れを忘れ、ぼんやりと町を眺める。蜂蜜色の家々が立ち並ぶ、慣れ親しんだ景色。たまに車や馬が走り去り、近所の人や観光客たちが自然の風景を楽しむ様子が目に入る。なんの変哲もない、日常の中に私はいるはずなのに、景色が灰色に染まっていくような気がした。
心臓がどくどくと煩く脈打ちしている。落ち着かない中で、ズボンのポケットから着信音が鳴り響いた。震えながら携帯電話を確認すると、母からの電話だった。
ふう、と小さく息を吐いてから通話ボタンを押す。
『レイ? 今、どこにいるの?』
「近くの丘の上で散歩してるよ。黙って外に出てごめんなさい」
平静を装うと思ったのに、自分でも分かった。声が暗すぎるって。
『寒いから早めに帰ってきなさいね?」
「……うん」
冷たい風が通りすぎた。思わず身震いしてしまう。
『レイ』
「ん?」
『どうかしたの? 元気ないわね』
そう問われ、すぐには答えられなかった。
最近、私は父のことを考えるとぼんやりしてしまう。今の出来事だって凄く驚いているし、ショックで空元気さえ出ないの。
心配しすぎかもしれない。でも、いくら何でも私をミリィと間違えるなんて絶対におかしい。