サルビアの育てかた


 ある日の休日。俺はいつものように実家に訪れた。

 父と母は仕事からまだ帰ってこない。夕飯を作り終えた後、レイと一緒にダイニングで紅茶を淹れて談話しながら二人の帰宅を待つ。
 このまったりした時間が好きだ。世間話をレイとするだけでいい。ついでに、砂糖が入った紅茶を飲むと落ち着くんだ。
 だけど──今日はいつもと少し違った。レイの口数が極端に少ない。

 気になっていたのだが、最近の彼女はあまり元気がない。この前電話で話したときも明らかに声が暗かった。
 カップに入った紅茶は減ることもなく、レイは頬杖をついている。つい先日まで、公園でダンス練習をしていたときにリスがきのみを食べるのを見かけたとか、あの料理の作りかたを母から教えてもらったとか、嬉しそうに話してくれたのに。
 いつものレイの楽しそうな顔が見たい。他愛ない話をノンストップでしてほしい。
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