サルビアの育てかた
 俺は彼女に、穏やかな笑みを向けた。

「俺がなんとかして、父さんを病院へ連れていく」
「……本当?」
「任せておけ。今まで一人で不安だったよな。レイはよく頑張ったよ」

 おもむろに彼女の髪に触れた。

「今まで気づいてやれなくてごめんな。話してくれてありがとう」

 俺の言葉に、レイは安堵したような表情を浮かべた。それから、大きな声で泣き始めたんだ。
 それは悲しみの涙なんかじゃない。不安だけが原因でもない。きっと心が少しだけ楽になったのだろう。心配事はまだまだ残る。彼女は今、たくさんの感情を抱えているに違いない。

 彼女が泣き止むまで、俺は何も言わずにそばに寄り添った。
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