サルビアの育てかた
 わざと咳払いしてから、ふと気分転換がしたいと思った。

「散歩でもするか」

 真冬の朝は、日の出が遅い。
 窓の外を眺めて、レイは首を傾げた。

「こんなに早くから?」
「いいだろ、せっかく早起きしたんだ。ほら、ジャンパー着て。行くぞ」

 半ば強引に俺はレイの手を引いて外へ連れ出した。

 今日は雲が少ない。 星が照らす田舎町を、レイと共に歩いていく。
 先日雪が降った名残で、住宅の屋根にはまだうっすらと白い結晶が残っている。蜂蜜色の家の外壁と、ところどころ銀世界に染まる光景がなんとも幻想的だ。
 冷えないように、俺は彼女の手をしっかりと握り締める。

 そのまま当てもなく町の中を歩き続けた。家から数分歩いた先にちょっとした丘があるんだ。ひらけた場所で、町の景色がよく見える。緩い坂道を上り、天辺まで歩いたところでだんだんと陽が昇り始めた。
 冷たい風が吹いて、レイが身震いをする。
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