サルビアの育てかた
 それから数日が経った。
 俺は意を決した。父に「健康診断へ行こう」 とそれとなく誘う。
 最初は嫌がられたが、すぐに終わるからと俺がしつこく言い続けると渋々承諾してくれた。

 ──担当医は淡々とした人だった。
 問診から始まり、血圧測定や発語、聴力、更には歩行状態なども詳しく診られた。父は不服そうな顔をして「どうしてこんなことをするんだ」と文句を言い続ける。
 どうにか俺は父を落ち着かせながら、MRIなどのさまざまな検査も受けさせた。

 全てのチェックが終わり、結果が出ると──俺は、俺たちは唖然としてしまった。父は案の定「アルツハイマー病」と診断されたからだ。

 結果なんて言われる前から分かっていたはずだ。それなのに、改めて診断結果を知ってしまうと、どうしようもないくらいショックだった。これからの未来がどうなってしまうのかと考えると、不安で不安でたまらない。グリマルディ家の生活が大きく変わるきっかけとなってしまったのだから。
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