サルビアの育てかた
その場が二人の熱で充満した頃、俺は一度動きを止めた。
「レイ、そろそろ終わろう」
気付けば三十分もノンストップで踊っていた。俺もレイもすっかり汗だくだ。
今まで真剣に練習をしていたレイが、急に気持ちが緩んだようにふと笑みを溢す。
「ふふ……ヒルス」
「何だ?」
「レッスン中はずっと厳しいのに、終わるとすぐいつもの優しいヒルスに戻るよね」
「それはそうだろ。ふざけてダンスを教えたりしないよ」
「私、オン・オフがはっきりしてるヒルスも好き」
「……本当か?」
俺はいちいちレイのなにげない一言に反応してしまう。自分でもバカらしいと思う。彼女の言葉に大して特別な意味なんてあるわけがないのに、心のどこかで何かの期待をしてしまう自分がいる。
「ヒルス、ちょっと待って」
タオルを手に持つとレイは背伸びをして、俺の額から流れ出る汗を優しく拭き取ってくれた。
顔が、物凄く、近い。彼女の唐突な行動に、俺の心がまたもや熱を上げてしまう。
「どうしたんだよ、急に」
「たくさん汗かいてるから」
「それならレイも、だろう?」
今度は俺が彼女の額をタオルでそっと拭き取る番。その間、レイはじっとこちらを見つめてきた。俺の鼓動がどくんどくんと音を立て、煩わしい。
──忙しい日々の中、レイと二人でゆっくり過ごす時間がなかなか取れず、出かけることもほぼなくなってしまった。
俺が気づかないうちに、レイはずいぶんと成長していたらしい。性格は変わらないが、なんと言うか……雰囲気が変わった。薄くメイクをしていて、決して派手ではないがファッションやアクセサリーなども意識するようになった気がする。
正直、俺は女性のお洒落などには疎い。だがレイの変化だけは敏感に反応していた。
「レイ、そろそろ終わろう」
気付けば三十分もノンストップで踊っていた。俺もレイもすっかり汗だくだ。
今まで真剣に練習をしていたレイが、急に気持ちが緩んだようにふと笑みを溢す。
「ふふ……ヒルス」
「何だ?」
「レッスン中はずっと厳しいのに、終わるとすぐいつもの優しいヒルスに戻るよね」
「それはそうだろ。ふざけてダンスを教えたりしないよ」
「私、オン・オフがはっきりしてるヒルスも好き」
「……本当か?」
俺はいちいちレイのなにげない一言に反応してしまう。自分でもバカらしいと思う。彼女の言葉に大して特別な意味なんてあるわけがないのに、心のどこかで何かの期待をしてしまう自分がいる。
「ヒルス、ちょっと待って」
タオルを手に持つとレイは背伸びをして、俺の額から流れ出る汗を優しく拭き取ってくれた。
顔が、物凄く、近い。彼女の唐突な行動に、俺の心がまたもや熱を上げてしまう。
「どうしたんだよ、急に」
「たくさん汗かいてるから」
「それならレイも、だろう?」
今度は俺が彼女の額をタオルでそっと拭き取る番。その間、レイはじっとこちらを見つめてきた。俺の鼓動がどくんどくんと音を立て、煩わしい。
──忙しい日々の中、レイと二人でゆっくり過ごす時間がなかなか取れず、出かけることもほぼなくなってしまった。
俺が気づかないうちに、レイはずいぶんと成長していたらしい。性格は変わらないが、なんと言うか……雰囲気が変わった。薄くメイクをしていて、決して派手ではないがファッションやアクセサリーなども意識するようになった気がする。
正直、俺は女性のお洒落などには疎い。だがレイの変化だけは敏感に反応していた。