サルビアの育てかた
※
翌朝。夜明け前に目を覚まし、私は素早く着替えて準備をする。
イベントがある日でも、やらないといけないことがあるから。
洗面所に行って歯を磨き、顔を洗ってからメイクをする。腰くらいまで伸ばした黒髪を整えて、二つに結んだ。私が小さい頃、母が言ってくれた。「レイにはツインテールが似合う」って。それが嬉しくて、今でもお気に入りのヘアスタイルなの。
朝食を用意する前に私はガーデンに向かった。キッチンのカーテンを引いて静かに窓を開ける。今朝は雲ひとつない快晴で清々しい一日の始まりだった。
じょうろを持って窓からガーデンへ出ると──そこには先客がいた。
「お父さん」
寝巻姿のままじょうろを持って、父がガーデンに咲く『サルビア』たちに水やりをしていた。普段父が花の世話をすることなんて滅多にないから少し驚いた。
父は一度手を止めて私の方を振り向く。
「ああ、レイか。やっと起きたのか」
「うん。お父さんがお花に水やりなんて珍しいね?」
「そうだなぁ。もう【昼過ぎ】なのに母さんが起きてこないからな。花が枯れたら大変だと思って水をあげているんだよ」
呆れたような顔をしつつも、父の表情は何となく柔らかい。
──今がお昼過ぎだと思っているんだね。
私は敢えて父の言うことに頷いてみせる。
「ごめんね、お父さん。起きるのが遅くなっちゃった。後は私がやるよ」
父の隣に並び、私は『サルビア』たちに水を与えていく。微かに朝日が顔を出した頃、水の雫を身にまとう赤い花びらが美しく輝きながら目の中に映った。
すぐ近くのガーデンチェアに腰かけてから父は何をするわけでもなく、じっと『サルビア』を眺めている。
翌朝。夜明け前に目を覚まし、私は素早く着替えて準備をする。
イベントがある日でも、やらないといけないことがあるから。
洗面所に行って歯を磨き、顔を洗ってからメイクをする。腰くらいまで伸ばした黒髪を整えて、二つに結んだ。私が小さい頃、母が言ってくれた。「レイにはツインテールが似合う」って。それが嬉しくて、今でもお気に入りのヘアスタイルなの。
朝食を用意する前に私はガーデンに向かった。キッチンのカーテンを引いて静かに窓を開ける。今朝は雲ひとつない快晴で清々しい一日の始まりだった。
じょうろを持って窓からガーデンへ出ると──そこには先客がいた。
「お父さん」
寝巻姿のままじょうろを持って、父がガーデンに咲く『サルビア』たちに水やりをしていた。普段父が花の世話をすることなんて滅多にないから少し驚いた。
父は一度手を止めて私の方を振り向く。
「ああ、レイか。やっと起きたのか」
「うん。お父さんがお花に水やりなんて珍しいね?」
「そうだなぁ。もう【昼過ぎ】なのに母さんが起きてこないからな。花が枯れたら大変だと思って水をあげているんだよ」
呆れたような顔をしつつも、父の表情は何となく柔らかい。
──今がお昼過ぎだと思っているんだね。
私は敢えて父の言うことに頷いてみせる。
「ごめんね、お父さん。起きるのが遅くなっちゃった。後は私がやるよ」
父の隣に並び、私は『サルビア』たちに水を与えていく。微かに朝日が顔を出した頃、水の雫を身にまとう赤い花びらが美しく輝きながら目の中に映った。
すぐ近くのガーデンチェアに腰かけてから父は何をするわけでもなく、じっと『サルビア』を眺めている。