サルビアの育てかた
水やりを終えると、私は父の隣に腰かけた。
未だにぼんやりと『サルビア』を眺める父の顔を覗き込み、微笑んでみせた。
「お父さん」
「何だ?」
「ごめんね」
私の言葉に、父は首を傾げた。
それでも構わずに続ける。
「私、お父さんとお母さんの娘になれてとっても幸せだよ。でも……お姉ちゃんの代わりにはなれない。だから、ごめんね」
思いがけず、声が震えてしまった。だって私はこんなにいい家庭に恵まれて、今までたくさん愛情を注いでもらったのに。私はそれに対して何も返すことができていない。こんな自分がもどかしかった。
俯いていると、父は優しく私の頭を撫でてくれた。それから、大きく首を横に振るの。
「レイ、何を言っているんだ?」
「えっ」
「代わりになんてならなくていい。レイはレイだぞ。前にも言ったはずだ。『今はレイとヒルスがいてくれるから幸せだ』と。父さんも母さんもこんなに可愛い子が二人もいて、それだけで幸せなんだぞ」
「……お父さん……」
思いもよらない、父の言葉。途端に目尻が熱くなった。
本当に、そう思っているの? 言葉を失い、父の顔を見つめ続けた。
父はいつもと変わらないあたたかい笑顔を私に向けている。愛情がたっぷり伝わってくるの。
小さい頃から父に甘やかされ、優しくしされ──私が反抗期のようにひどいことを言ってしまったときでさえ、本気で向き合ってもらえた。
いつだって父は、本当の娘のように育ててくれた。
……ううん、違う。本当の本当に実の父娘なんだ、私たち。血の繋がりなんて関係ない。強い絆があるもの。
父の言葉と優しい眼差しが改めて教えてくれた。私たち家族にとって、何が一番大切なのかを。
どうしようもないほどに感情がほとばしる。私は素早く立ち上がり、父に背を向けた。
「朝食……お昼ご飯用意するから、待っててね」
「ああ、いつもありがとうな。レイの作るご飯は旨いんだよ」
父のなにげない一言に、私の胸が熱くなった。
どれだけ病気が進行したって、私は最後まで父を支えていこう。改めてそう思った一日の始まりだった。
未だにぼんやりと『サルビア』を眺める父の顔を覗き込み、微笑んでみせた。
「お父さん」
「何だ?」
「ごめんね」
私の言葉に、父は首を傾げた。
それでも構わずに続ける。
「私、お父さんとお母さんの娘になれてとっても幸せだよ。でも……お姉ちゃんの代わりにはなれない。だから、ごめんね」
思いがけず、声が震えてしまった。だって私はこんなにいい家庭に恵まれて、今までたくさん愛情を注いでもらったのに。私はそれに対して何も返すことができていない。こんな自分がもどかしかった。
俯いていると、父は優しく私の頭を撫でてくれた。それから、大きく首を横に振るの。
「レイ、何を言っているんだ?」
「えっ」
「代わりになんてならなくていい。レイはレイだぞ。前にも言ったはずだ。『今はレイとヒルスがいてくれるから幸せだ』と。父さんも母さんもこんなに可愛い子が二人もいて、それだけで幸せなんだぞ」
「……お父さん……」
思いもよらない、父の言葉。途端に目尻が熱くなった。
本当に、そう思っているの? 言葉を失い、父の顔を見つめ続けた。
父はいつもと変わらないあたたかい笑顔を私に向けている。愛情がたっぷり伝わってくるの。
小さい頃から父に甘やかされ、優しくしされ──私が反抗期のようにひどいことを言ってしまったときでさえ、本気で向き合ってもらえた。
いつだって父は、本当の娘のように育ててくれた。
……ううん、違う。本当の本当に実の父娘なんだ、私たち。血の繋がりなんて関係ない。強い絆があるもの。
父の言葉と優しい眼差しが改めて教えてくれた。私たち家族にとって、何が一番大切なのかを。
どうしようもないほどに感情がほとばしる。私は素早く立ち上がり、父に背を向けた。
「朝食……お昼ご飯用意するから、待っててね」
「ああ、いつもありがとうな。レイの作るご飯は旨いんだよ」
父のなにげない一言に、私の胸が熱くなった。
どれだけ病気が進行したって、私は最後まで父を支えていこう。改めてそう思った一日の始まりだった。