サルビアの育てかた
 ──朝食を済ませ、衣装を持って私はヒルスと共に車に乗り込んだ。
 運転席に座るヒルスは欠伸をしていて、まだまだ眠たそう。
 車のエンジンをかけていざ出発しようとした、そのとき。

「ヒルス、レイ」

 母が玄関から顔を出してきた。
 助手席の窓を開け、私は小首を傾げる。

「お母さん、どうしたの?」
「これ、持っていって」

 母は白い袋を差し出した。

「ランチ用に作っておいたから。二人で食べてね」

 袋を受け取り、中を見てみる。具がたっぷりのサンドウィッチが二人分入っていた。母からの差し入れに、私は顔を綻ばす。

「ありがとう。わざわざ用意してくれたの?」
「母さんも每日大変なのに悪いな」
「いいのよ。今日は二人とも楽しんできなさいね」

 朝の光に照らされる母の笑顔は、眩しく反射していて。それでいて、どことなく切なさが醸し出されていた。

「父さんは?」
「また寝ちゃったわ。昨夜も何回か起きたみたいだから」
「そうだな……」

 父が夜起きる度、母も目を覚ましてしまうのだろう。目にクマができてる母を見ると、私は少し心配になった。
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