サルビアの育てかた
 途端に色んな思考が巡ってしまい、私の口は勝手に動き始めてしまう。

「フレア先生」
「なに?」
「ヒルスと……兄ととても仲が良いですよね」
「え?」

 一瞬、フレア先生は口ごもった。それでも変わらない穏やかな口調で答えるの。

「そうね、スタジオの仲間だもの」

 フレア先生は小さく咳払いをする。

 本当に仲間だから──? モヤモヤした感情を抱いてしまい、スイッチが入ったように私の問いかけは止まらなくなる。

「あの、フレア先生は兄の部屋に出入りするほどの仲なんですよね?」
「えっ」
「兄の部屋にはよく行っていたのですか?」

 ここまで訊いて、私はちょっと後悔する。
 もう二年以上前のことだよ。ヒルスが体調を崩したとき、私が看病しに行ったら彼の部屋からフレア先生が出てきたの。あのときは深く話を聞けなかったし、聞く気にもならなかった。今さらこんなこと掘り起こすべきじゃないし、気にしないようにしてたのに。

 私、どうしちゃったんだろう。フレア先生を困らせてるよ。
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