サルビアの育てかた
 いつもの私なら、そこで気持ちが落ち込んで一人で傷ついていた。でも……会う度にこんな風に言われたら、そろそろ我慢できなくなるよ。

 心臓がドクドクと脈打つ中、私はメイリーの方に身体を向けて口を開いた。

「あの、メイリー」
「何よ」
「私、調子に乗ってなんかいない!」

 私が怒ったような顔をすると、メイリーは一瞬目を見開いた。

「ジャスティン先生は私がダンスから離れていた時期もずっと応援してくれてたの。ヒルスが私のコーチになったのも、彼と話し合った結果だよ。それに……」

 一度息を大きく吸ってから、私ははっきりと次の言葉を言い放つ。

「ニセモノなんかじゃない! 義理だとしても私はヒルスの妹だし、家族だよ。固い絆があるの。血の繋がりとか、そういうのは関係ない!」

 顔が熱くなっていた。強めに言ったせいで、呼吸が乱れてしまう。
 こんな私を眺めながら、メイリーは驚いた顔をしつつもすぐに怪訝な表情に変わる。

「な、何よ。超生意気っ。あなたがどう思っていたって、本当の家族じゃない事実は変わらないのよ。それに、先生に期待されてるなら死に物狂いでこれからも踊っていかないとダメなの。あなたにその覚悟はあるのかしらね!」

 捨て台詞を吐くと、メイリーはさっさとメイク道具をしまって出ていってしまった。
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