サルビアの育てかた
「ごめんよ、ヒルス。素晴らしいステージの後にこんな暗い話をしてしまって」
「いえ、とんでもないです」
「君たちのお父さんも難しい病気になってしまって、本当に大変だと思う。でも君たちはみんなで助け合っていける素晴らしいファミリーだ。きっと乗り越えられると、僕は信じているよ」
「はい、ありがとうございます」
「だから──事故にだけは気をつけて。外だけでなく、家の中でもどんな危険があるか分からないからね」
「そうですね……気をつけます」

 俺はこの病気の恐ろしさを再認識させられた。
 父は外出するとき、必ず家族の誰かと一緒に行きたいというタイプなので今のところ徘徊はしない。しかし、先生の言うとおり家の中でも危険はたくさんあるんだ。

 家に帰ったら、改めて危ない箇所を確認しないとな。
 俺が考え込んでいると、ジャスティン先生はまたいつもの笑顔に戻る。

「さ、この話はもう終わりだ!」

 そう言いながら他愛ない話でその場を明るい空気に変えてくれた。
 先生の、いつまでも引きずらない明るい性格も俺は好きだった。
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