サルビアの育てかた
「ヒルス、お疲れ様」

 俺とジャスティン先生が談話していると、観客席の方からフレアがやって来た。

「ああ、フレア。遅かったな。何してたんだ?」
「うん、ちょっとね」

 左手を腰に当て、フレアは笑みを浮かべながらも低い声を出す。

「それより、あなたたちのペアダンス、本当に最高だったわ」

 称賛の言葉を向けてくれる割に、フレアはなぜか大きなため息を吐く。
 なんだ、どうかしたか?
 フレアはちらちらと周囲を見回し、引きつった顔で言うんだ。

「ヒルス、ちょっとだけ二人で話したいことがあるの! 少し時間くれる?」
「えっ?」
「いいでしょ? 五分だけ。ね」

 なんとも言えない雰囲気に、俺はただただ頷くしかなかった。

「ジャスティン先生、すみません。少し待っていて下さい!」と言いながら、フレアは俺をひとけのない場所まで連れ出した。
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