サルビアの育てかた
◆
どんなに現実逃避をしても、時間の流れは止まらない。
私とヒルスは、数日間彼のフラット(アパート)の部屋で引き籠もっていた。
明日には父と母を引き取り、葬式もしなければならないとヒルスは言う。
……引き取る? 何を引き取るの? 葬式? 誰の葬式だろう? よく分からない。
私はソファで横になり、何をするわけでもなくただぼんやりと天井を眺める。
私のそばに近寄り、ヒルスは優しい声で口を開いた。
「レイ」
呼びかけられても私は無表情のまま、彼の目を見ることもしない。
何度目かも分からない同じ質問を投げかけた。
「ヒルス」
「うん?」
「お父さんとお母さん。まだ、帰ってこないの?」
自分でも驚くほど抑揚のない声だった。
私がそうやって訊くと、今までのヒルスは「まだだよ」なんて誤魔化すかのような返事をしてきた。だけど、今日は様子が違う。妙に真剣な表情になり、顔を覗き込んできた。
「レイ、落ち着いて聞いてくれるか」
ヒルスの声のトーンがとても低い。
胸がざわつく。ぬくっと起き上がり、私は激しく首を横に振った。
今から何を話すつもり。
どんなに現実逃避をしても、時間の流れは止まらない。
私とヒルスは、数日間彼のフラット(アパート)の部屋で引き籠もっていた。
明日には父と母を引き取り、葬式もしなければならないとヒルスは言う。
……引き取る? 何を引き取るの? 葬式? 誰の葬式だろう? よく分からない。
私はソファで横になり、何をするわけでもなくただぼんやりと天井を眺める。
私のそばに近寄り、ヒルスは優しい声で口を開いた。
「レイ」
呼びかけられても私は無表情のまま、彼の目を見ることもしない。
何度目かも分からない同じ質問を投げかけた。
「ヒルス」
「うん?」
「お父さんとお母さん。まだ、帰ってこないの?」
自分でも驚くほど抑揚のない声だった。
私がそうやって訊くと、今までのヒルスは「まだだよ」なんて誤魔化すかのような返事をしてきた。だけど、今日は様子が違う。妙に真剣な表情になり、顔を覗き込んできた。
「レイ、落ち着いて聞いてくれるか」
ヒルスの声のトーンがとても低い。
胸がざわつく。ぬくっと起き上がり、私は激しく首を横に振った。
今から何を話すつもり。