サルビアの育てかた
 ──夜になると、更に気持ちが沈んでしまう。気力のない中で、私は毎晩ヒルスと同じベッドで横になる。お互いに少しでも孤独を感じると崩壊してしまいそうで、離れられないの。

 ヒルスは私の手を握り締め、そっと耳元で囁いた。

「レイ、もう寝たか」

 私がゆっくり振り返ると、彼はそっと頬に触れてきた。手が微かに震えてる。
 彼は温和な眼差しを向けて口を開いた。

「泣きたいときはいつでも泣いていいからな。俺が全部受け止める。レイは何も心配しないで」
「……」

 目の前が闇に包まれてしまいそう。

 ヒルスは全然泣いたり弱音を吐いたりしない。だけど時折とてつもなく悲しそうな表情になるのを私は何度か見ている。ヒルスだって辛いはずなのに、いつも私のことを気にかけている。だから少し心配だった。

「この悲しみからいつ抜け出せるのか分からないけど、これからも俺はレイのそばにいる。それだけは忘れないで」
「……」

 声を発することができない私は頷くこともせず、そっと彼の胸の中に顔を埋めて冷たい手で身体を寄せた。
 ヒルスは私の頭を優しく撫で、一晩中抱き締めてくれる。

 心にできてしまったこの深い傷は、いつか癒される日が来るのかな。今の私たちには立ち直れる未来がくるなんて、全く想像もできない。
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