サルビアの育てかた
 本当は話がしたい。しかし、レイが隣にいるので俺はその後ろ姿を呼び止められずにいた。
 すると叔父が突然俺の肩にそっと手を置き、耳元でこう囁くんだ。

「葬儀が終わったら話してこいよ。……事情は、姉さんから全部聞いているから」

 叔父は微笑みながら頷いた。

 ──ジェイク叔父さんは、知っているのか。レイのことも、俺たちの事情も。全部?

 肩の力がすっと抜けたように感じる。
 本当は少し怖かった。今までずっと、父と母と一緒にレイを見守ってきたから。
 取り残された俺は、最大の秘密を抱えたままレイと二人で生きていかなければならない。一人では荷が重すぎる。
 身内に一人でもその事情を知る人がいたんだと分かった瞬間、こんな不安を半減させてくれた。
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