サルビアの育てかた



 葬儀から数日が経った。
 私の心は未だに沈んだまま。
 それはヒルスも同じだった。何もせずソファで横になっていることが多くなってしまった。

 私も部屋に引き籠もった日が続いている。でも……。
 一歩も外に出ないで過ごすなんてよくない。いつまでもこのままじゃダメだ。
 せめてフラットの敷地内にあるガーデンに出て空気を吸おう。

(ヒルス。私、少しだけ外の空気を吸ってくるね)
「……」

 優しく肩をさすってみてもヒルスはなんのリアクションもしない。
 この数日で彼は痩せ細り、筋肉もだいぶ落ちたように見える。髪はボサボサで髭も全然剃っていない。この変わりように、見ていて胸が苦しくなる。だけど、悲しい気持ちは分かるから……彼を責めることなんてできない。

(すぐ戻るね)

 届かないと分かっていても、私は心の中で声をかけてから静かに部屋を出ていく。
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