サルビアの育てかた
「お前がレイに対して特別な感情を抱いているのは分かってるよ」
「叔父さんまで……何を言うんだ」
「分かりやすい性格は子供の頃から変わらないな。だがな、ヒルスがレイを想うようにオレにとってもあの子は特別なんだ。たとえ血が繋がっていなかったとしても、レイは姉さんが生前大切にしていた娘なんだよ。そんな大事な人を苦しませるような真似は許さないぞ」
「それは、俺がレイを悲しませているってことか?」

 語気を荒げる叔父の話に、うんざりした。

「悪いなヒルス。オレは冗談が苦手だ。いつまでも狼狽えているなら、本気でレイをアメリカへ連れて行く」

 叔父の威圧的な言い様に、俺はそこで口を閉ざしてしまう。
 どうして俺は何も言えなかったんだろう。

「レイを連れて行くなんていくらジェイク叔父さんでも許さない」「今までレイのそばにいたのは俺だ」「これからも俺たちは二人で一緒に生きていく」

 本当はそう言い返してやりたかった。だけど、今の俺は叔父に言われたようにレイを守ってやれるほどの余裕もなければ、力もなく、そして自信すらもない。
 情けない。こんな自分に呆れてしまう。
 だけどもう、どうすればいいのか分からないんだ。この暗い気持ちに、光を差す方法なんてない。

 俺は殻の中に閉じ籠り、闇に包まれたまま独りでもがき苦しんでいた。
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