サルビアの育てかた


 その後叔父は、仕事があるからと夕方にはホテルへ戻っていった。
 レイもまだ帰ってこない。
 一人取り残された俺は、意識が半分飛んだようにソファに座ったまま動けなくなっていた。

 ──俺がレイを苦しめているって、どういうことだろう。

 叔父に言われたあの一言がずっと頭の中で回転している。
 何もせずに、レイに家事を任せっきりだからか?
 働かない思考を必死に巡らせ、俺は相当的外れな考えに至ってしまう。

 ──そうだ、レイが帰ってくるまでに夕飯を作ってあげればいいんだ。

 重い身体を何とか立ち上がらせ、共用キッチンへ向かう。フラット内に住んでる誰かが使っているかな、と思ったが灯りも点いておらず、誰かが来る気配すらない。

 髪の毛は乱れ、眉を整えていなければ髭すらも剃っていない。こんな姿を仲間に見られたら、絶対に驚かれてしまう。誰もいない方がむしろ都合がいいか……。
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