サルビアの育てかた
「どういうつもりだ。外で食べてきたんじゃないのか」
(だって、せっかくヒルスが作ってくれたんだもの)
「いいよ。俺が全部片付けるから」
(食べさせてよ。それに、デザートも一緒に食べたいなって)

 するとレイは、花柄の模様が印刷された白い箱をテーブルの上に置いた。これは。

「……ケーキ?」

 俺が驚きながら訊くと、彼女は笑顔で頷いた。おもむろに、箱を開封する。
 中には小粒のイチゴを着飾ったショートケーキが、ふたつ身を寄せ合っていた。

 ニコニコする彼女とは裏腹に、俺は何か得体のしれない不安に駆られる。

「外食をしてケーキまで買ってきたのか。そんなに小遣いがあるわけじゃないだろ……?」

 自分でも、全く意味不明なことを言っていると思う。だけど俺の口は、彼女への質問を止められないんだ。

「誰と行ったんだよ。友だちか? ジャスティン先生か、フレアか?」

 早口になる俺を前に、彼女は少し戸惑ったように首を横に振る。
 いつもならレイが誰と食事に行ったかなんて気にしたりしない。でも今日は違う。
 次にする質問が怖くなり、俺は手に汗を握った。

「まさか……ジェイク叔父さんと行ったのか」

 酷く低い声になってしまった。今の俺は、表情も暗くなっているだろう。

 いつにない俺の態度に、レイは眉を八の字にしながらも、ゆっくりと首を縦に振った。
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