サルビアの育てかた
 慌てたように紙とペンを手に持って筆談しようとしていたが、そんな彼女の手を抑え俺は首を横に振った。

「もういいよ。これからはレイの好きなように生きていけばいい」

 瞬きの回数が増え、レイは目を点にしている。
 目を逸らし、俺は彼女の腕から離れていく。

「今日は先に寝るよ」

 もう、彼女の気持ちを読み取ることはしない。

 テーブルの上で散らかる残飯を片し、俺はさっさとベッドに伏せた。
 まるで小さな子供が一人でいじけるように、俺の心はひねくれてしまっていた。
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