サルビアの育てかた



 翌日。

 微妙な雰囲気のまま、私はヒルスと叔父のジェイクと三人で実家があった場所に車で向かっていた。
 前で運転する叔父は何か話題を振ってくるわけでもなく、後部座席で私の隣に座るヒルスは気の抜けた顔で外の景色を眺めているだけ。
 車内には場の空気にそぐわないノリノリな音楽が流れていた。
 今日は天気が良すぎる。ギラギラに輝く太陽の光が、まるで私たちの眼球を刺激してくるのではないかと思わせるほど眩しい。

 ほぼ会話がないまま一時間ほど走り、気づくと私たちは家の跡地に辿り着いていた。
 周囲の連なるハニーストーンの家々は、姿を変えずいつもどおりの状態。すぐ近くにある丘も車通りの少ない目の前の道路さえも、何事もなかったかのような顔をしている。解体された私たちの家だけが、完全にその存在を消し去っていた。
 車からゆっくりと降り、私は息を呑む。

 本当に……全てがなくなってしまったんだ。

 ヒルスと一緒に汗を流して踊っていたガーデンも、花壇に咲く美しい『サルビア』たちも。四人で楽しく食卓を囲んだ憩いの場所は、所々に雑草が生えているだけのただの更地となってしまった。

 ──覚悟していたはずでしょう? ここを更地にしてしまおうと希望したのは、私たち自身なのに……どうしてこんなに胸が苦しくなるの?
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