サルビアの育てかた
「ヒルス、レイ。この場所は、フリーホールドとしてお前たちの所有地になる。今後ここをどうするのか決めているか」
叔父は無表情で事務的な話を始める。口調までもが冷淡だ。
そこまで考える余裕なんて今はない。ヒルスも言葉に詰まってる。
じっと跡地を眺め、私の意識は半分どこかへ遠のいてしまう。
「土地を売ってしまうか、誰かに貸すのか、色々方法はあるんだぞ」
「そんなこと言われても、今は何も考えられないよ」
暗い声でそう答えるヒルスに対して、叔父は深い息を吐いた。
「ここをどうするか決めるのはお前たちだ。オレは姉さんたちの墓を手配したり、解体業者に見積もりを取ったり、保険関係の手続きを手伝うことはできる。だが、家族で過ごした大切な場所を今後どうしていくのかオレに決める権利はない。お前たちの意見がないとどうしようもないんだぞ」
「それじゃあ、その権利をジェイク叔父さんに譲渡すればなんとかしてくれるのかよ?」
ヒルスは全てがどうでも良いといったような口ぶりで、気だるそうにそんなことを言い放つ。信じられないほど投げやりだ。
叔父はそれを聞いた瞬間、眉間に深く皺を刻み込む。勢いよくヒルスの前に立つと、大声を出した。
「ヒルス、お前。なんてことを言うんだ! 思い出の場所まで手放すつもりか!」
「……思い出? 見てみろよ。何もかも燃えてなくなっただろ? 土地なんかあっても、家族で過ごしたあの家が元どおりになるわけじゃない。父さんと母さんがここに帰ってくることもないんだ。こんな場所、あってもなくても同じだよ」
ヒルスの言葉の数々に、私の胸の奥がカッと熱くなった。虫酸が走るほど嫌な感情が溢れてくる。
──ヒルス。何を言うの?
叫びたかった。けれども声を失くした私は、どうやってこの心情をぶつけていいのか分からない。顔がどんどん熱くなっていく。
そんな折、叔父は激しい剣幕でヒルスの胸ぐらを掴み取った。いつもどんなときも優しかった叔父が、こんなにも怒りに満ちた形相を浮かべることなんて今までに一度足りともなかった。
横で見ている私さえも圧倒されてしまった。
ヒルスは一瞬怯んだような顔を浮かべながらも、すぐにため息を吐いた。諦めたような表情に変わり、何も言わずにギュッと目を瞑る。
……何、その態度? ヒルス、自分が言ったことを理解してる? 私たちの家がなくなっても、たしかにここは家族四人で過ごしてきた場所なんだよ。そんな大切なものに対して、酷いことを言ったの。何とも思ってないの?
こんなの、私が知っているヒルスじゃない。本当の彼は、もっと情深い人で家族を大事に想っている人だった。いつもアクティブで何事に対してもポジティブだった。それなのに今のヒルスは全部を否定してる。一日一日を無駄に過ごしてただ寝っ転がっているだけの、格好悪い人だよ!
今まで溜め込んできたものが私の中で爆発してしまい、こんな彼のことが許せなくなった。
もういい加減にしてよ! そう叫びたかったのに、できないもどかしさ。
叔父は無表情で事務的な話を始める。口調までもが冷淡だ。
そこまで考える余裕なんて今はない。ヒルスも言葉に詰まってる。
じっと跡地を眺め、私の意識は半分どこかへ遠のいてしまう。
「土地を売ってしまうか、誰かに貸すのか、色々方法はあるんだぞ」
「そんなこと言われても、今は何も考えられないよ」
暗い声でそう答えるヒルスに対して、叔父は深い息を吐いた。
「ここをどうするか決めるのはお前たちだ。オレは姉さんたちの墓を手配したり、解体業者に見積もりを取ったり、保険関係の手続きを手伝うことはできる。だが、家族で過ごした大切な場所を今後どうしていくのかオレに決める権利はない。お前たちの意見がないとどうしようもないんだぞ」
「それじゃあ、その権利をジェイク叔父さんに譲渡すればなんとかしてくれるのかよ?」
ヒルスは全てがどうでも良いといったような口ぶりで、気だるそうにそんなことを言い放つ。信じられないほど投げやりだ。
叔父はそれを聞いた瞬間、眉間に深く皺を刻み込む。勢いよくヒルスの前に立つと、大声を出した。
「ヒルス、お前。なんてことを言うんだ! 思い出の場所まで手放すつもりか!」
「……思い出? 見てみろよ。何もかも燃えてなくなっただろ? 土地なんかあっても、家族で過ごしたあの家が元どおりになるわけじゃない。父さんと母さんがここに帰ってくることもないんだ。こんな場所、あってもなくても同じだよ」
ヒルスの言葉の数々に、私の胸の奥がカッと熱くなった。虫酸が走るほど嫌な感情が溢れてくる。
──ヒルス。何を言うの?
叫びたかった。けれども声を失くした私は、どうやってこの心情をぶつけていいのか分からない。顔がどんどん熱くなっていく。
そんな折、叔父は激しい剣幕でヒルスの胸ぐらを掴み取った。いつもどんなときも優しかった叔父が、こんなにも怒りに満ちた形相を浮かべることなんて今までに一度足りともなかった。
横で見ている私さえも圧倒されてしまった。
ヒルスは一瞬怯んだような顔を浮かべながらも、すぐにため息を吐いた。諦めたような表情に変わり、何も言わずにギュッと目を瞑る。
……何、その態度? ヒルス、自分が言ったことを理解してる? 私たちの家がなくなっても、たしかにここは家族四人で過ごしてきた場所なんだよ。そんな大切なものに対して、酷いことを言ったの。何とも思ってないの?
こんなの、私が知っているヒルスじゃない。本当の彼は、もっと情深い人で家族を大事に想っている人だった。いつもアクティブで何事に対してもポジティブだった。それなのに今のヒルスは全部を否定してる。一日一日を無駄に過ごしてただ寝っ転がっているだけの、格好悪い人だよ!
今まで溜め込んできたものが私の中で爆発してしまい、こんな彼のことが許せなくなった。
もういい加減にしてよ! そう叫びたかったのに、できないもどかしさ。