サルビアの育てかた
 ──あのとき俺にそう言った先生に笑顔が戻ることはなかった。
 先生まであんなことを俺に話してくるなんて。どうしてみんな口を揃えて「レイに甘えさせてもらえ」「支えてもらえ」というような話をするのだろう。
 俺はバカなほど頑固だ。誰が何と言おうと、レイに支えてもらうのではなく、自分が彼女を守るのだという一心になっていた。


 たくさんの料理を眺めながら俺がぼんやりしていると、レイが不思議そうな顔で覗き込んでくる。

(ヒルス、どうしたの。食べないの?)
「ああ、ごめん。考え事をしていたよ。せっかくご馳走を作ってくれたんだ。全部食べ尽くすからな」

 自分でもわざとらしいと思うほどの明るい声。
 小首を傾げながらも、レイは俺の向かいに座って食事を始めた。
 彼女の手作りハンバーグステーキはジューシーで本当に美味しい。チーズリゾットも相変わらずとろける食感が口の中を喜ばせてくれる。
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