サルビアの育てかた


 こんな暗い気持ちのまま踊っても、アクロバット技を成功させるなんてできるはずもなく。その日も俺はジャスティン先生に不甲斐ない姿しか見せられないでいた。
 こんなはずじゃなかった。すぐにでもレッスン指導に復帰しようと意気込んでいたのに、俺の身体が──いや、気持ちが全然追いついていない。
 先生にも申し訳ないし、早く指導に戻らないとフレアや他の仲間たちにも迷惑をかけてしまう。
 心底情けない。悔しくて仕方がない!

「ヒルス、気を落とさないで。明日も頑張ろう」
「……はい」

 ジャスティン先生のそんな優しさが、余計に俺の心を苦しめる。

 いつも先生に良くしてもらっているのに。今回の件でも、俺はずっとジャスティン先生の優しさに甘えて長い期間スタジオを休んでしまった。
 全く踊れなくなってしまった今の自分が、まるで恩を仇で返しているようだ。

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