サルビアの育てかた
 ──ため息まじりでダンススタジオを出ると、車のクラクション音が俺の耳元まで小さく鳴り響いた。音の方を振り向くと、俺のシルバーの車が道路脇で待ち構えていた。

 ああ、そうだ。叔父が迎えに来てくれたのか。

 運転席の窓から顔を出し、叔父は手を振ってきた。

「ヒルス、お疲れ」
「ジェイク叔父さん。本当に出掛けるのか」
「ああ。お前が元気の出る場所へ連れて行ってやる」

 にこやかに話す叔父を見て、俺は首を捻る。

 元気が出る場所だって? ジェイク叔父さんにそれがどこか分かるのか。俺自身、どうすれば自分の活力を取り戻せるのか知らないというのに。
 しかし、今帰ったとしても更に気持ちが落ち込むのは目に見えている。俺は大人しく、気晴らしにドライブに連れて行ってもらうことにした。

 俺が助手席に乗り込むと、叔父はすぐに車を走らせる。

「叔父さん、どこ行くんだよ?」
「だから、お前が元気になるところだって」
「見当もつかないよ」
「ま、着いてからのお楽しみだな」
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