サルビアの育てかた
 俺は下らないプライドに囚われすぎていたんだ。
 もしも再び大きな壁にぶち当たるようなことがあれば、レイを支えるだけでなく、俺も支えられる立場であっても良いんだと彼女のおかげでやっと気づかされる。今までバカみたいに強がっていた俺は、どうやら自分で自分の首を絞めていたようだ。

 これから俺たちはたった二人きりの家族だが、きっとレイと一緒なら大丈夫。明るい未来が待っているに違いないと、俺は信じて疑わない。

 その後、俺たちは観覧車に乗り、寄り添いながらロンドンの夜景を眺めた。広い箱の中には他のカップルや観光客も数人いたが、俺は構わずに彼女の肩を抱き寄せる。今だけは、自分の立場なんて忘れさせてほしい。

 窓の外に目をやると、レンガ造りの建物たちが幻想的にライトアップされ、夜にも関わらず多くの車が道路を照らしているのが目に映る。
 今まで見たどんな景色よりも、最高の輝きを魅せる美しい眺めだった。
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