サルビアの育てかた
「なあレイ」
「うん?」
「少しだけ、抱き締めてもいいか?」
「えっ」

 彼は急に顔を真っ赤にして、そんなことを口にした。

 胸が、ドキッとする。

 今までに何度だってハグしてもらってきたよ。でもそれは、落ち込んでいるときや悲しいとき、何か辛いと感じたときに慰めの意味も込めてだったから……。理由もなく突然言われるとかなり恥ずかしい。

 顔を熱くさせながら、私は小首を傾げる。

「な、なんで?」
「いや、理由なんてないよ。ごめん……意味分かんないよな、俺」
「う、うん。意味分かんない」

 照れ隠しでそんな風に返してしまった。
 するとヒルスは、悲しい顔をして背を向ける。

 でも私は、抱きしめられてもいい。むしろ、抱きしめてほしい。
 慌てて彼の裾を引っ張った。
 ヒルスは驚いたような表情になって、もう一度私の方を振り返る。
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