サルビアの育てかた



「なんだかあなたとレイ、今日はフワフワしてるわね」
「どういう、意味だ?」
「とぼけちゃって。昨日何か進展あったの?」

 にやにやしながらフレアは小声でそんなことを訊いてくる。俺はヒヤッとして、思わず周りを見回した。
 練習場に俺とフレア以外誰もいないことをよく確認してから、極力声量を落とす。

「まあ。色々あったよ」
「へぇ、何? 帰りにデートはしてきたんでしょうね」
「いや、テムズ川沿いを歩いて観覧車に乗っただけだ」
「はあ? ロンドン・アイのことでしょ。夜景見たのよね? デート以外の何物でもないわよ!」

 食い気味に話をするフレアを前に、妙な汗がじんわり溢れ出てくる。

「デートと言われても。レイと俺は義理でも兄妹だぞ。ただ……」

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