サルビアの育てかた
 いつものフレアならこんな俺のことを、冷やかしてくるだろう。だけど今日は全く違ったんだ。

「そっか。ヒルスはやっと本心に気付いたのね」
「……ああ」
「そのうち自分の気持ちを伝えるの?」
「今はできないけどな。でも、レイには待っていてくれと話したよ」
「凄いっ。なにそのドラマチックな展開!」

 フレアは両手のひらを頬に当て、興奮したように言うんだ。

「本当に心からヒルスはレイを大事に思っているのね。普通なら今すぐ告白しちゃうところを、きっちり彼女が大人になるまで我慢するつもりなんでしょ?」
「我慢と言うか。事実を話すまでは、あくまで俺はレイの兄だからな。それまではこの気持ちを言うわけにもいかないし、レイを困らせたくないんだ」

 格好つけてそんな話をするが、昨晩レイが寝ている隙に欲求に負けてあんなことをしたくせに。痛い男だなと自分でもつくづく思う。もちろんこの件だけは、フレアにも他の誰にも話せるわけがない。
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