サルビアの育てかた


 重い瞼を開く。なぜか俺は自室のベッドの上で横たわっていた。全身が熱く、脱力感が半端じゃない。頭の中を継続的に殴られているような気分だ。

(おかしいな、昨日パブで飲んでたんだよな……)

 記憶が途中から全くない。トイレに行ったところまでは覚えているが、その後はどうしたか。
 思い出せない事態に、俺は嫌な予感がした。

 よろめく足をなんとか立たせ、ベッドから起き上がると、キッチンで料理をしているレイの姿が目に映る。

「……レイ」

 小さく俺が声を掛けるが、レイは気付いていないのだろうか、手を止めることなく料理に集中している。わざと視界に入るようキッチンに近づくと、彼女はやっとこちらに目を向けてくれた。

「……おはよう。起きたんだね」
「うん、おはようレイ」

 気のせいだろうか。レイの声が冷たいように感じる。笑いもしない。いつもなら可愛らしい笑顔を向けてくれるのに。
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