サルビアの育てかた
 大きく溜め息を漏らし、俺は低く唸る。

「好きとかキスしようとか。……どうしてそんなこと言ったんだろう」
「本心に気づいたからでしょ」

 あっさりフレアにそう言われ、俺は否定することが出来ない。

「行動が抑えられなくなる気持ち、わたしも分かるわよ。好きな人がそばにいるんだもの。だけど、ヒルスも理解しているとは思うけど、今の状況であなたがレイに行き過ぎた行動をしちゃうと、何も良いことはないわ」
「ああ。その通りだな……」

 だけど、どうすれば衝動を抑えられる? あと二年もこの状況が続いて、俺は自分の中の欲心に打ち勝つなんてできるのか?
 俺は無意識のうちに眉を八の字にしていた。

「自信がない」
「は」
「好きすぎて、気持ちが抑えられないんだ」

 暗い声で俺がそう言うと、フレアはまた呆れたような顔をするんだ。

「ヒルスは彼女を愛してるんでしょう?」
「そうだよ」
「愛してるなら、自分の欲求よりもレイの気持ちを優先させなきゃ。自信ないなんて言ってる場合じゃないわ」

 それは──たしかに。心から愛していれば、自分の気持ちよりも彼女のことを考えなければいけない。
 俺はつい最近までそれが出来ていたはずなのに、今は欲が溢れ出してしまってどうしようもない。
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