サルビアの育てかた
 両腕を組み、フレアは俺を見ながら小さく息を吐いた。

「じゃあこうしましょう」
「何?」
「あなたが暴走しそうになったら、わたしに報告をしなさい」
「報告って?」
「メッセージでもなんでもいいから、もし何かあったら『HELP』と送って。すぐ説教メッセージを送り返してあげる」
「……そんなんで、効果あるか?」
「一人でウズウズしてるよりマシでしょ。それに、この問題はヒルス自身が解決することよ」

 フレアは厳しい声で、だけどどこか優しい言葉遣いで言うんだ。

「お願いだから、レイを幸せにしてあげてね」

 その時のフレアの瞳の奥には、切なさが滲み出ていた。

 ──俺は本当にレイの兄だという自覚が全くない。今までは彼女を家族の一員として大事にしてきた。
 けれども、レイに対して色んな感情と深い愛情を知ってしまった。それによって、衝動が意図せず加速してしまうことがある。こんなにどうしようもない男だったなんて、レイもきっと呆れられる。

 彼女を傷つけないように。レイがいつでも笑顔でいられるように。とにかく自分の欲求を抑えるんだ。彼女を愛しているなら、きっと大丈夫なはずだろう──?
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